闘技場の思考

体力と現在の強さと将来性

前書き 

 バトグラは運の要素があるゲームである。だからこそ、人によってプレイスタイルが異なったり、正解が無かったりして面白いともいえる。今回は体力と将来性という基本的な考え方について話そうと思う。

 

体力というリソース

 このゲームにはおおよそ3つのリソースがある。体力、現在の強さ、未来の強さである。この三つのリソースをいかにやりくりするかということを我々は知らず知らずのうちにやっている。

①体力

 基本は初期40だが、現在は装甲によって初期値が異なっている。戦闘に勝つか引き分ければ減らないし、負ければ減る。特殊な減り方はバズィアルのヒロパや織屋の自傷ダメージくらい。このゲームの究極の目的はこれを最終的に長く保つこと。

②現在の強さ

 現在の盤面の強さ。これが強ければ強いほどこのターンで対戦相手に勝ちやすくなり、こちらの体力が守られ、相手の体力を減らすことができる。

③未来の強さ

 未来の盤面の強さ及びそれに貢献するリソース(手札に抱えているミニオンやコイン、盤面に置いているだけで毎ターン効果を発動する光牙の執行者や巣母など) これが強ければ強いほど長い間強さを維持することができる。

 

 我々が普段の判断においてどのように3つのリソースを調整しているかの例を挙げる。

 例えば、6gに博打打ちとヨーホーオーガが並んでいて、どちらを取るかという場面を考えてみる。ヨーホーオーガを取れば戦闘に引き分けられそうだが、博打打ちを取れば負けてしまうかもという時、ヨーホーオーガを選択した場合は体力と現在の強さとヨーホーオーガを売るまでの未来の強さを得ている。博打打ちをとった場合はそれらが犠牲になる代わりに、博打打ちは将来のターンにおいてグレード4のミニオンなどヨーホーオーガより強力なミニオンと交換できる可能性が高いため、未来の強さを得ている。このように、ミニオンピック一つをとっても、体力、現在の強さ、将来の強さを考慮に入れて考えているのだ。

強いタイミングのコントロール


 バトグラで安定して勝つためには、強いタイミングのコントロールが必要である。これには比較的短期な視点と長期的な視点の二つがあるが、長期的な視点に近寄るほど、いわゆる大局観といったものが問われてくる。
 短期的な視点の例としては、このターン買ったバフミニオンをコイン効率の観点などから出さずに手札に抱えておく、地響き使いに血の宝石を全て与えず、数枚残しておくなどである。この例はどちらも短期的な強さ(このターンの強さ)を捨て、次ターンの強さに投資していることになる。
 しかし多くの場合はこのターンの強さを捨て次のターン強くなるといった短期的な場合だけでなく、もう少し長期的な視点、例えば今後3ターンは弱くなるがそれ以降に強くなる、といった選択を迫られる場合が多い。このような問題を判断するには、大局観と呼ばれるものが必要となり、環境、ban、ヒーロー、自分の現在の強さ、自分の将来性、対戦相手の現在の強さ、対戦相手の将来性などを考慮して判断を行う必要がある(もちろん全てを考慮に入れるのは難しく、取捨選択が必要になる)。以下ではなぜ強さをコントロールする必要があるのかから一つ一つしっかり見ていこうと思う。

自分が強いタイミングでは何が起こるか?


 自分が強いということは、対戦相手との戦闘に勝てるということである。すなわち①自らの体力が保たれ、②対戦相手にダメージを与えることができる。これがもたらす効果を序盤中盤終盤にわけて考える。

☆序盤(3g〜7g、t1〜t5あたり)
序盤においては、①の重要性が高く、②の重要性が低い。なぜなら、対戦相手が多いうちは(対戦相手の強さが均等と仮定すると)対戦相手へのダメージのインパクトが実質的に7分の1であり、一人の対戦相手に7ダメージ与えたとしても、全体で見れば対戦相手に1ダメージしか与えていないことになる。また序盤に強くともミニオンのグレードや酒場グレードの関係で対戦相手へのダメージは少ない。

☆中盤(t6〜t9あたり)
 中盤においてもなお、①の重要性が高く、②の重要性が高い。しかし、将来性がありそうな対戦相手にリーサルを決めれる場合などにおいては、②も重要となってくる。

☆終盤(t10〜)
 終盤においては、①と②ともに重要性が高くなってくる。対戦相手が少なくなり、対戦相手の体力が減ってくれば、それだけ対戦相手一人に与えるダメージのインパクトは大きい。対戦相手を倒せるかどうかが順位の変動に大きく関わってくる。

 

なぜ強いタイミングをコントロールする必要があるか?


 強さの価値というのは前述の通りターン経過によって変動する。序〜中盤においては、強さというのは基本的に体力を保持する意味合いが強い。過剰な強さは、対戦相手への打点というあまり意味のないリソースに変換されてしまうため、過剰な強さは将来の強さへ変換したい。また、強くある理由は体力であるため、打点が変わらなければ強さが多少変動したところで意味はない。打点が大きく変動するのは、負けが引き分けor勝ちになる瞬間である(相手のヒーローの酒場グレード分の変化があるため)。よって負けが確定しているような状況では多少の強さは捨てて将来の強さに回し、負けを引き分け以上にできそうな状態では現在の強さを引き上げる価値が高まる。

 中盤以降においては、限りあるリソースの中で一つでも順位を上げるためには、どのターンにおいて盤面の強さを最大化することが、最終的な順位に繋がるのかを意識する必要がある。なぜなら、バトグラはどんなに将来性があっても、体力がゼロになってしまったらそこで終わりだからだ。序盤から順調にいって優勝が狙えそうなときは、そのままどんどん自分の戦団を強くしていけばよい。しかし、序盤からこけて上手くいってないときは、より長く生き残るために全力を出すターンを見極めて生存しなければならない。そのような耐え側にとって全力を出さなければならないターンは、相手にリーサルを決めることができる場面や、逆に自分がリーサルを食らいそうな場面だ。逆に全力を出さないターンは、例えば現在は15点バリアがあるため、明らかな格上に対して15点を食らう前提で動くターンなどがある。

 体力と現在の盤面の強さ、対戦相手の強さが基本的な現在の立ち位置である。その立ち位置を踏まえたうえで、どの順位を目指すのか、どのターンまで耐えることが目標なのかをしっかり考えた上で強いターンをコントロールすることで、一つでも順位が上がる場面は多い。

 

体力というリソースをどのように扱うか?

①残体力による体力の価値の変化

 体力というリソースは、自分の残り体力によって数字1あたり重みが変わってくる。例えば、残り体力が20の人が残り体力10になるのと、残り体力40の人が残り体力30になるのでは、数値上は10の違いでも、その重さは前者の方が重い。なぜならゲームの脱落が近づいてきて、リスクを背負うことになるからだ。残り体力が少ない状態でのプレイというのは、選択肢が狭まってしまう。例えば、残り人数が自分含め3人の時、自分はブランマーロック構成をやっており、対戦相手は金献身の毒マロ構成と、クオリティの高い母熊構成をやっているとする。この時、体力10の状態で毒マロ構成とマッチングしたとする。この場合、毒マロ構成に負けないためには、ブランを切って献身の英雄などを入れないといけなくなる。しかし、ここで体力が20あれば、ブランを切らずに一回負けるという選択肢をとることができる。ブランを残すことにより、次のターンの母熊戦に必要なスタッツを手に入れることができ、もし自分が毒マロに勝てなかったとしても、母熊構成が毒マロを破ってくれる可能性は十分あり、最終的に優勝を狙うことができる。

 このようなシチュエーションにおいて、体力10と体力20の10の差と、体力30と体力40の10の差は同じ数値なのに明らかに違う価値を持っていることがわかるだろう。このような三つ巴のシチュエーションでなくとも、一回も負けられない状態というのは、自分のほうが相手より盤面が強かったとしても低確率でリーサルを食らうリスクを背負い続けるか、将来性を犠牲にしてそのターンの勝率を100%に近づけるかの選択肢を常に迫られ続ける。

 結論としては、体力が多いうちはリソースとして消費し将来性に変換する価値が高いが、少なくなってくると将来性よりも体力のまま残しておく価値が高くなる。

 

②将来性による残体力の価値の変化

 この話はあまり語られることが少ないが、個人的には重要だと思う。基本的には、将来性がある(=1位を狙える)構成を組むのが現実的である際の体力と、1位は難しく、よくて2~4位である構成を組むであろう際の体力の価値は、後者の方が高い。なぜなら、前者の場合は自分が卓で一番強いため自分が強くなりさえすれば、戦闘に勝ち続けて優勝することができるからだ。その場合は、一回保険で負けられる程度の体力さえあれば、強い構成が完成した時の体力20だろうが40だろうが最終順位は変わらないのである。逆に、後者の場合は、ある意味戦闘に負けることを前提とした戦術である。このような場合は、自分の戦団のクオリティよりも残り体力のほうが最終順位に直結する。将来の強さを上げようとしても、その実現確率が低かったり、クオリティを上げても格上には勝てず、逆に投資を行うことで格下に負ける危険性をはらむなら、リスキーな選択である。

 結論としては、1位狙いの構成が組めるのであれば、体力をリソースとして扱い将来性に変換する価値が高い。逆に、上位滑り込みを狙うのであれば、体力をそのまま保持しておき将来性を犠牲にする価値が高い。

 

終わりに

抽象的な内容を含むためわかりづらい部分はあると思うが、参考になれば幸いである。    本当は体力と将来性の他に、不確定要素というもう一つの重要な軸があるのだが、その話は機会があればしたいと思う。

一つでも上の順位を目指すために真剣に考えるバトグラは、楽しいぞ。